【10月28日 AFP】ローマ教皇庁(バチカン)で29日までの4週間にわたって開かれているローマ・カトリック教会のシノドス(世界代表司教会議)で、同教会における女性の地位に関する問題が議題の一つになっている。

 カトリック教会は2000年にわたって男性が指導してきた。中絶を禁止しているほか、女性司祭を認めず、離婚も容認していない。バチカン近くでは、女性活動家らが「女性司祭を任命せよ」と叫びながら、男性主導の教会の在り方に批判の声を上げている。

 変革を求める女性たちは、欧州諸国や米国、オーストラリア、コロンビア、インド、南アフリカなど各国から集まった。ただ、全員が女性司祭を求めているわけではない。一部の女性たちは、まず洗礼を授けたり、結婚式、葬儀の司式が執り行ったりできる助祭になれるよう求めている。

 ただ、女性たちは女性が重要な役割から排除されていることへの不満を共有して結束している。

 フランスの活動家グループのメンバーであるカルメン・ショメ氏は、「家族の中で教区民としての生活を支え、信仰を伝えているのはほとんどが女性や母親だ」と述べた上で、「それにふさわしい地位を与えないのは矛盾しており、不公平だ」と批判した。

 修道女や平信徒の参加が認められた今回のシノドスは歴史的な転換点と言える。フランシスコ教皇(Pope Francis)への提案に関する採決に、シノドスのメンバー365人の約15%に相当する女性54人前後も投票できる。

 カトリック教会にとっては革命的な出来事との見方もあり、改革を求めてきたグループは「最初の一歩だ」と評価している。しかし一部の活動家は、一部で進む改革は女性への偏向した認識を隠す小手先の対応だと見ている。

 オーストラリアから参加した「キリスト者婦人の集い(CWC)」の執行委員会メンバー 、キャシー・コービット氏は、女性が投票できるようになったことは進歩の兆しだとしつつも、教会における女性への全般的な認識に対して、「とても不満だ」と表明した。

 コービット氏は「教皇はまだ女性に対して認識できていない部分があるように見える。教皇は女性を役割の観点、一般的に言って母親としての役割からしか見ていないようだ」と話した。

 CWC執行委員会のドイツ人メンバーであるレジーナ・フランケンベンデルゾルフ氏は、女性たちは具体的な行動を期待していると強調し、「全ての主張や要求事項は俎上(そじょう)に載せられている。今度はバチカンや教会が行動しなければならない」と訴えた。

 教皇が自らの改革案に対して抵抗に直面するように、女性たちが変革を求める動きに対しても強い反対意見が存在する。

 シノドス参加者の一人は匿名を条件に、「米国の一部の司教は、女性の司祭就任を1992年に容認した英国国教会と同じ道をたどることを恐れている」と語った。また、欧州では、女性をめぐる改革への期待が大きいが、アジアやアフリカではそれほどでもないとの見方もある。(c)AFP/Clement MELKI