【10月21日 AFP】スウェーデンの右派政権は20日、欧州域外出身の移民の社会保障受給を厳格化する方針を明らかにした。移民の流入を抑止し、社会統合を容易にする狙いがあるとしている。

 スウェーデンは1990年代以降、主に旧ユーゴスラビアやシリア、アフガニスタン、ソマリア、イラン、イラクなどの紛争地帯から多数の移民を受け入れてきた。だが、そうした移民の社会統合に苦労している。

 連立政権を組む3党と極右・スウェーデン民主党(SD)の党首は日刊紙ダーゲンス・ニュヘテルに掲載した意見広告で、「2012年以降、欧州連合(EU)と欧州経済地域(EEA)の域外の国々から、77万人以上がスウェーデンに移民してきた」と説明。

「(移民に対して)ほとんど何も要求せず、社会に溶け込むインセンティブを与えない統合政策と相まって、大量の移民がスウェーデンに分断を生み出している」として、「人種差別や社会からの疎外、失業、学業成績の低下、スウェーデン共通の価値観の欠如」を例に挙げた。

 さらに、人口約1030万人のスウェーデンは揺り籠から墓場まで手厚い社会保障を受けられる福祉国家として知られるが、職に就けず社会保障給付で暮らす外国出身者の「問題は深刻」だと指摘した。ただし、主張を裏付ける公式データや、社会保障給付で暮らす国民の数などは添えていない。

 政府は、欧州域外出身の移民にスウェーデン語の学習と国内で高度専門職に就くことを求める改革を計画しており、詳細を詰めるための調査を行っていた。

 EUおよびEEA域外からの移民には、域内の移動の自由が適用されるため、新たな措置は欧州域外出身者を対象としている。

 政府はまた、域外出身移民に対する社会保障給付に上限を導入し、児童手当、住宅手当、失業手当、傷病手当、育児休暇などは適用外とする計画も進めていると発表。さらに、社会保障の給付資格を得るまで一定の待機期間を設けるとしている。

 欧州域外出身の移民は、大都市郊外の貧困地域で暮らすケースが大半で、そうした地域は失業率と犯罪率が高く、スウェーデン語はほとんど話されていない。(c)AFP