【10月20日 AFP】タイ政府は20日、例年大気汚染が深刻化する時期より前に微小粒子状物質(PM2.5)濃度が急激に上昇したことを受け、対策を講じると発表した。

 世界の大気汚染を監視するウェブサイト「IQエア(IQAir)」によると、首都バンコクは同日、大気汚染がひどい都市ランキングで10位以内に入った。

 政府関係者は大気汚染の急激な悪化について、主に大気の状態が原因で、気温の低下、高気圧、空気の乾燥によって微粒子が蓄積したためだと説明した。

 また、焼き畑を認める地域の限定、官民間の規制の整備、監視地点の増加、国境を越えた汚染に関する関連部門との交渉など、PM2.5防止策を強化すると述べた。

 だが、環境保護団体は、政府の対策は大気汚染の最大の発生源となっている産業部門を無視していると非難している。

 グリーンピース(Greenpeace)・タイランドの大気汚染キャンペーン担当者は「産業活動がPM2.5の大部分を引き起こすことがいくつかの研究で示されている」と指摘した。

 タイ政府は、隣国のものも含めて焼き畑が大気汚染の主因となっており、産業活動は乾期の大気汚染の原因の4%にとどまるとしている。

 環境保護団体EARTHのディレクター、パンチョム・セータン氏は、例年よりも早く大気汚染が深刻化したのは、産業活動の影響が大きい可能性が高いと述べた。

 大気汚染の研究に10年携わっている同氏によると、バンコクのPM2.5の発生源の3分の1が産業活動によるものとみられる。

 同氏は「政府がPM2.5の問題を解決しようとしているのは評価するが、産業部門の影響について真剣に取り組むべきだ」と指摘した。(c)AFP