【10月17日 AFP】オランダの著名な美術調査員アルテュール・ブラント(Arthur Brand)氏はこのほど、盗難被害に遭っていた絵画6点を回収したと明らかにした。歴史的な重要性のある作品が含まれているという。

「美術界のインディ・ジョーンズ(Indiana Jones)」の異名で知られるブラント氏は先月、ビンセント・ファン・ゴッホ(Vincent van Gogh)作品を回収し、世界的に大きく報道された。

 ブラント氏が今回回収したのは、北部メデンブリック(Medemblik)市庁舎から先月盗まれた絵画6点。

 金銭的な価値はおよそ10万ユーロ(約1600万円)相当と比較的少額だったとはいえ、オラニエ公ウィレム(William of Orange)の肖像画や、680年に描かれ、フリースラント(Friesland)の王レッドボット(Radbod)の初の肖像画とみられている作品もあり、歴史的な重要性が高いと考えられている。

 ブラント氏が13日夜、自宅でサッカーを観ていると玄関のベルが鳴り、ワゴン車に乗った男性から、荷降ろしを手伝ってほしいとの依頼を受けた。何を降ろすのかとブラント氏が尋ねると、男性は「メデンブリックの絵だ」と笑顔で答えたという。

 ブラント氏はこの6点が盗まれた際に、転売の容易さでいえば自転車6台を盗むべきだったとコメントし、現地メディアで広く報じられていた。同氏は、このコメントに加え、ゴッホ作品の回収に注目が集まったことが、今回の絵画返還につながったのかもしれないと話している。

「転売ができないと分かると、証拠隠滅のためだけに作品を燃やしてしまう場合もある」とブラント氏。「だから今回は、正しい判断が下されたことにとても感謝している。窃盗は悪いことだが、返還すれば少なくとも何か正しいことをしたことになる」 (c)AFP