【10月13日 AFP】イスラエルとパレスチナのイスラム組織ハマス(Hamas)の衝突で、パレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)から退避する民間人の通行許可をエジプトに求める声が上がる中、同国のアブデルファタハ・シシ(Abdel Fattah al-Sisi)大統領は12日、ガザ住民は「断じて動かず、自分たちの土地にとどまる」べきだと述べた。

 イスラエルに包囲されているガザ地区にあって、南端のエジプト国境にあるラファ(Rafah)国境検問所はイスラエルの管理下になく、往来可能な唯一の経路となっている。

 7日のイスラエルに対するハマスによる奇襲では、約1200人が死亡。その大半が民間人だった。イスラエルは即日、ハマスが実効支配するガザ地区への空爆を開始。当局によれば、これまでに1400人以上が死亡した。

 国営系メディアの最近の報道によれば、治安当局高官はパレスチナ人について、「イスラエルの爆撃で死ぬか自分たちの土地から退去するかの選択を迫られている」として、ガザ地区からの大脱出が起きる可能性があると警告した。

 シシ大統領は軍事式典での演説で、エジプトは「この困難な時期に医療・人道、両面での支援」を確実に届けられるよう尽力していると述べ、パレスチナ人の「正当な権利」を確保するという「確固たる立場」を改めて表明した。

 一方で、ガザ住民は「断じて動かず、自分たちの土地にとどまらなければならない」と強調した。

 シシ氏は「エジプトはすでに多くの国から安全と安心を求めてやって来る、私が『客人』と呼んでいる人々を900万人」受け入れていると語った上で、ガザの場合は「違う」と述べ、なぜならばガザ住民の退去は「(パレスチナの)大義の消滅」を意味するからだと説明した。(c)AFP