【10月11日 AFP】ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領は11日、ベルギーの首都ブリュッセルにある北大西洋条約機構(NATO)本部を訪問し、同盟諸国にさらなる武器の供与を要請した。ロシアによる侵攻開始後、ゼレンスキー氏がNATO本部を訪問したのはこれが初めて。

 イスラエルとパレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)を実効支配するイスラム組織ハマス(Hamas)の衝突により、ウクライナの主要な支援国である米国の注意がそれる可能性が取り沙汰される中、ゼレンスキー氏は、防空システムや長距離ミサイル、弾薬などの供与を改めて求めた。

 NATO国防相会合に先立ち、イエンス・ストルテンベルグ(Jens Stoltenberg)事務総長と共に報道陣の取材に応じたゼレンスキー氏は、「この冬をどう乗り切るかが大きな課題だ」との認識を示し、「われわれは準備を進めており、用意はできている。今必要なのは首脳陣からの支援だ。だから私はきょうここにいる」と述べた。

 一方、ストルテンベルグ氏はゼレンスキー氏に対し、「われわれはウクライナを支持し、支援を提供する。これはNATO全体にとって非常に重要だからだ」と述べた。

 ゼレンスキー氏は先に、イスラエル危機によりウクライナ紛争への関心が薄れることへの懸念を表明。米国は、ハマスによるイスラエル攻撃後、イスラエルへの軍事支援強化を決定した一方で、ウクライナへの武器供与という政府の方針に影響はないと強調している。

 NATO会合に出席した他国の代表も、ウクライナへの武器供与が近いうちに途絶する可能性を否定。オランダのカイサ・オロングレン(Kajsa Ollongren)国防相は、「われわれのウクライナ支援を強調することが肝要だ」と述べ、「ウクライナ紛争を注視している。ウクライナはわれわれの全面的な支援を受ける」と明言した。(c)AFP/Max DELANY with W.G. DUNLOP