【10月10日 AFP】2024年米大統領選で民主党の指名獲得を目指していた弁護士のロバート・ケネディ・ジュニア(Robert Kennedy Jr)氏(69)が9日、無所属へのくら替えを表明した。民主、共和両党の候補から票が流出し、大統領選の波乱要因となる可能性がある。

 ケネディ氏はジョン・F・ケネディ(John F. Kennedy)元大統領のおいで、ロバート・F・ケネディ(Robert F. Kennedy)元司法長官の息子。筋金入りの反ワクチン論者で、陰謀論を提唱していることで知られ、米国の保守系メディアの寵児(ちょうじ)でもある。

 ケネディ氏はペンシルベニア州フィラデルフィア(Philadelphia)での支持者集会で、「私はきょうここで、余裕のある生活、未来への希望、そして互いへの敬意を奪う、腐敗した圧政からの独立を宣言する」「しかし、そのためにはまず、私自身の独立を宣言しなければならない。民主党、そして他のすべての政党から独立する」と表明した。

 次期大統領選はジョー・バイデン(Joe Biden)大統領とドナルド・トランプ(Donald Trump)前大統領の再戦が最有力視されているが、接戦州で民主党支持者の票が流出すれば、バイデン氏にとって大惨事となりかねない。

 しかし、多くの専門家は、ケネディ氏のくら替えで影響を被るのは、バイデン氏よりもトランプ氏だとみている。

 世論調査によれば、ケネディ氏は民主党支持者より共和党支持者の間で人気が高い。これまでの主要調査の支持率は平均15%未満と伸び悩み、バイデン氏に47ポイントの差を付けられている。

 一方で、アレックス・ジョーンズ(Alex Jones)氏や、トランプ政権で大統領補佐官(国家安全保障担当)を務めたマイケル・フリン(Michael Flynn)氏といった極右の陰謀論者に支持され、エイズ(AIDS、後天性免疫不全症候群)の原因はHIV(エイズウイルス)ではないとの説や、Wi-Fiによってがんや「脳漏れ症候群(リーキーブレイン)」になるという説を唱えている。

 また、学校での銃撃事件は抗うつ剤のせいだとし、水道水に含まれる化学物質で子どもがトランスジェンダーになる可能性があると発言。今年7月には、新型コロナウイルスは白人と黒人を「民族的に標的」にしており、アシュケナジ(東欧系ユダヤ人)と中国人には及んでいないと主張し、激しい非難を浴びた。

 ケネディ氏のきょうだいのうち4人は、同氏の無所属からの出馬表明は「危険」かつ「極めて遺憾」とする声明を発表。「ボビーと父は名前こそ同じだが、価値観やビジョン、考えは異なる」と述べている。(c)AFP/Frankie TAGGART