【10月9日 AFP】イラン外務省は9日、パレスチナのイスラム組織ハマス(Hamas)による大規模なイスラエル攻撃にイランが関与したという見方は事実無根だとして、これを否定した。

 イラン外務省のナセル・カナニ(Nasser Kanani)報道官は記者団に対し、「イランの役割を指摘する見方は政治的理由に基づいている」と断じ、「パレスチナを含め、他国の意思決定には介入しない」と述べた。

 パレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)を実効支配するハマスは7日未明、イスラエルに対し、前例のない大規模な攻撃を実施。大量のロケット弾を発射し、イスラエル領内に侵入した。これまでの死者はイスラエル側が700人以上、パレスチナ側が430人と発表している。

 イランは1979年のイスラム革命以来、パレスチナの大義を支持する姿勢を外交政策の中心に据え、イスラエルを国家として承認していない。今回も真っ先にハマスの攻撃を称賛した。

 カナニ氏は、パレスチナはイランの支援がなくても「自らの国家を守り、権利を回復するために必要な能力と意志」を持っているとの認識を示し、「イランの関与を語ることは世論を(事実から)遠ざけ、(イスラエルが)将来とり得る行動の正当化を目的とするものだ」と非難した。

 イランの国連(UN)常駐代表部も8日、ハマスの攻撃に関与したとの疑惑を否定した。

 これに先立ち米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)は、ハマスやレバノンのイスラム教シーア派(Shiite)組織「ヒズボラ(Hezbollah)」幹部の話として、ハマスの奇襲計画にイラン治安当局が関与したと報じていた。

 ある米政府高官は、今回のハマスの攻撃に関し、イランが「直接」関与していたと断言するのは時期尚早だとしながらも、ハマスがイランを含む国々から「資金、装備、武力」面で支援を受けていることに疑いの余地はほぼないと述べた。(c)AFP