【10月5日 AFP】ドイツ・キール世界経済研究所(IfW)の上級研究員を務める気候科学者のジャンルカ・グリマルダ(Gianluca Grimalda)氏が、太平洋の島国パプアニューギニアでの調査から帰国するに当たって、飛行機の利用を拒否しているために解雇される恐れがあると訴えている。

 グリマルダ氏はパプアニューギニアにおける気候変動の社会的影響を調査するため、同国に6か月間滞在した。

 往路は主に陸路と海路を使い、35日間かけて約1万6000キロを移動した。

 同氏は環境保護団体「サイエンティスト・レベリオン(Scientist Rebellion)」と共同で発表した声明で、復路は全工程で飛行機を使わず、貨物船、フェリー、列車、バスなどを利用したいと述べている。

 だが、IfWは、9月10日に出張の承認期限が切れたため、飛行機で直ちに帰国するよう要求しているとされる。

 グリマルダ氏は「私は今、信念を曲げて仕事を続けるか、信念を貫いて職を失うかというジレンマに立たされている」と述べた。

「飛行機には乗らない。炭素排出量がより少ない代替手段があるのに飛行機に乗ることは、私のモラルに反する」

 グリマルダ氏は調査旅行を45日間延長することになったのは、安全上の脅威と輸送上の障害のせいだと説明している。

 さらに「私がキールにいなければならない必要性は何もない。講義は受け持っていないし、セミナーその他の会合に出席する必要もない」と語った。IfWには無給休暇を申請したという。

 一方、IfWの広報は人事についてはコメントしないとした上で、「当研究所は出張の際、気候変動に配慮した方法で移動する職員を支援している」と述べた。(c)AFP