【10月8日 AFP】ノルウェー極北で白や茶、灰色の毛並みのトナカイの群れが、冬の放牧地に向かい、山を登り、氷河を泳ぐ。

 AFPのフォトグラファーは14日間にわたり、夏を過ごしたセグルビク(Seglvik)からフィンランド国境近くのカウトケイノ(Kautokeino)に戻るトナカイの群れに密着した。

 トナカイは北欧の先住民サーミ(Sami)人が半遊牧状態が飼育しており、夏と冬には放牧地を変えるため、大移動をする。

 二つの氷河を迂回(うかい)して、ヨーケルフィヨルド(Jokelfjord)氷河の麓に到着する。この氷河は欧州で唯一、海に流れ込んでいる。

 サーミ人は四輪バイクや徒歩、船でトナカイの後を追う。

 アンテ・ニイラス・ガウプさん(37)は、口笛を吹いてトナカイの群れに進路を示す。脇では犬がほえていた。トナカイは本能に導かれ正しいルートを進んでいくことが多いという。

「歩きたくなければ歩かない。自分たちが決めたやり方で、やりたいように少しずつ歩く」と語った。

 険しい崖やフィヨルドなどの移動が難しい場所では立ち止まり、サーミ人の合図を待つ。

 フィヨルドの真ん中で、小さなモーターボートに乗ったサーミ人が、対岸への道を示すため鐘を鳴らす。

 泳ぐ準備ができると一列になり飛び込む準備をする。数百頭が水に飛び込むと、うなりながら一斉に対岸に向かい泳いだ。

 対岸に到着すると、冬を過ごすカウトケイノへの旅も終盤だ。(c)AFP/Olivier MORIN