【9月29日 AFP】英イングランド北東部で、「ロビン・フッド(Robin Hood)の木」として知られる、英国で最も有名な木の一つ「シカモア・ギャップ(Sycamore Gap)の木」が切り倒され、警察は28日、16歳の少年を逮捕した。

 樹齢200年を超えるシカモア・ギャップの木は、国連教育科学文化機関(UNESCO、ユネスコ)の世界遺産に登録されている「ハドリアヌスの長城(Hadrian's Wall)」のすぐそばに立っていた。

 AFP記者によると、切り株には白いペンキの跡があり、切り口はチェーンソーで切られたかのようにきれいだった。

 倒れた木は、一部がハドリアヌスの長城に掛かっていた。

 ハドリアヌスの長城は東西の長さ約118キロ。ローマ帝国統治下のブリタニア(Britannia)と、統治下になかった北側のカレドニア(Caledonia)の境界として、ハドリアヌス統治時代の紀元122年から建設が始まった。

 長城沿いには何千人もの兵士とその家族が暮らしていたため、多数の遺跡や遺物が見つかっている。

 シカモア・ギャップの木は、ケヴィン・コスナー(Kevin Costner)主演の映画『ロビン・フッド(Robin Hood: Prince of Thieves)』(1991年)に登場し、世界的に有名となった。

 大勢の観光客が写真撮影をするスポットとなっていた。

 事件を管轄するノーサンブリア(Northumbria)警察は、少年は器物損壊の容疑で逮捕されたと述べた。ただ、「捜査はまだ初期段階にあり、さまざまな可能性に目を向けている」としている。

 ノーサンバーランド国立公園の管理当局トップのトニー・ゲイツ氏も「意図的に切り倒された」ように見えたと話した。涙を流す公園ボランティアも多いという。

 ソーシャルメディアにもショックを受けたというコメントが多数投稿されている。(c)AFP/Paul BARKER