【9月24日 AFP】フィリピンの漁師、アーネル・サタムさん(54)は22日、係争海域である南シナ海(South China Sea)のスカボロー礁(Scarborough Shoal)に向けて小型ボートを走らせると、中国海警局の高速艇に激しく追跡された。

 追跡は数分間続いた。サタムさんは豊かな漁場である同域に高速艇を振り切って進入しようとしたが、その試みは失敗に終わった。

 フィリピン漁業水産資源局の船舶に乗船していたAFP取材班は、この時の追跡劇を目撃した。同局の船は、最大数週間にわたり係争海域を航行する漁師らに食料や水、燃料を補給している。

 漁師らは、スカボロー礁における中国の行動について、収入源となる漁場と悪天候の緊急時に避難できる場所を奪っていると訴える。

 サタムさんはAFPに「そこ(スカボロー礁)で漁をしたい」と話し、「このようなことは普段からやっている。今日は早い時間にすでに追い回された」と付け加えた。

 高速艇はサタムさんのボートに体当たりしたこともあるという。

 中国は南シナ海のほぼ全域で領有権を主張しており、2012年にスカボロー礁を実効支配した。以降、海警局や船舶を配備し、フィリピンが歴史的に利用してきた漁場への立ち入りを妨害・制限している。(c)AFP