【9月24日 AFP】ドイツのビールの祭典「オクトーバーフェスト(Oktoberfest)」を二日酔い知らずで楽しもう──健康面に配慮する人が増え、質も向上したことから、ノンアルコールのビールがビアガーデンで提供される光景も珍しくなくなってきている。

 ドイツでは、アルコール分が0.5%未満であればノンアルコールとされる。ドイツ連邦統計局(Destatis)によると、ノンアルコールビールの生産量はここ10年でほぼ倍増し、2022年には6億7000万リットルに達した。

 調査機関アレンスバッハ研究所(Allensbach Institute)による22年の調査では、ノンアルコールビールはビールの購入量全体の約7%を占めた。

 ノンアルコールビールが発売されたのは1970年代で、ニッチ市場をターゲットにしていた。車を運転する人や妊婦、アルコール依存症の治療を受けた人などが想定されていた。

 しかし近年、ノンアルコール飲料が主流になりつつある。ドイツ醸造家連盟(German Brewers Federation)によれば、2010年以降、市販されている銘柄は700以上に倍増した。

 背景には、醸造技術が向上し、ノンアルコールビールがおいしくなったことが関係している。以前は品質が従来のビールに及ばず、広く飲まれるまでには至っていなかった。

 また、ノンアルコールビール人気には、健康志向やアルコールの害への意識の高まりも関係している。

「酒は飲みたいが、アルコールの影響を受けて酩酊(めいてい)したくない時もある」と、ベルリン在住の英国人男性(44)は語った。

 ベルリンにある、ノンアルコールビールを手掛けるブリュワリー、BRLOのビアガーデンを訪れていた女性(40)はAFPに対し、「ビールの味は好きだけど、いつもアルコールのあるものを飲まなくていいと思う」と話した。

 ドイツは世界有数のアルコール消費国で、1人当たりの純アルコール消費量は年間10リットルだが、特に若者の間で消費量が減少している。

 連邦健康啓発センターの最新調査によると、12~17歳で週に1回以上アルコールを飲むと答えた人の割合は8.7%と、2011年の約14%、1979年の25%から減少している。

 連邦統計局のデータでは、1人当たりのビール消費量は2013年は年平均100リットル近かったが、2022年には87.2リットルとなった。

 こうしたことから、アルコール飲料業界はノンアルコールビールの需要が今後も拡大し、醸造家連盟は市場の20%を占めるようになると予測している

 同連盟のホルガー・アイヒェレ(Holger Eichele)代表はノンアルコールビールについて、「昔ながらのビールに完全にとってかわることはないだろうが、非常に大きな可能性がある」と話した。

 映像は8月撮影。(c)AFP/Florian CAZERES