【9月22日 AFP】バルカン半島に位置するモンテネグロ北部ブレズナ(Brezna)で、毎年恒例「怠け者選手権」が始まってから1か月以上が経過した。

 会場となっている昔ながらの民宿では、多くの参加者がマットレスの上で文字通り何もせず、ただ寝転がっていた。

 参加者の一人、美容師のリディヤ・マルコビッチさん(23)は「800時間ここにいる。飽きたら起きるつもりだけど、いつになるかは分からない」と語った。

 主催者のラドンヤ・ブラゴリェビッチさんによると、この選手権は「モンテネグロ人は怠け者というステレオタイプをジョーク」にするため、12年前に始められた。

 立ち上がったり座ったりすると即失格だが、携帯電話を使ったり、読書をしたり、客の訪問を受けたりすることは許されている。

 今年の大会ではルールが若干変更され、8時間ごとに15分の休憩を取ることができるようになった。この新ルールのおかげもあってか、これまで最高記録だった5日間はとうに破られた。

 エントリーした21人のうち、残っているのは4人。皆、家族や仕事、学業などはひとまず放置している。

 近隣の村から参加した料理人のゴルダナ・フィリポビッチさん(36)は「ここまで耐えた自分を誇りに思う。夫からは『休暇だと思って、横になって楽しんで』と言われている」と語った。

 参加者のほとんどはモンテネグロ人だが、ウクライナ人、ロシア人、セルビア人の姿もあった。

 セルビアのクルシェバツ(Krusevac)にあるサッカークラブでマーケティング・マネジャーを務めるヨバン・クルンカニンさん(33)は2度目の出場だ。

 当初は賞金1000ユーロ(約16万円)だけが動機だったが、時間がたつにつれ、勝利への欲求も高まってきた。「今は自分の限界を証明するために、この状況を乗り越えて最後までやり遂げるためにここにいる」

 さらに「この経験と忍耐を実生活に生かしたい」とAFPに語った。(c)AFP