【9月20日 AFP】電気自動車(EV)は走行中に二酸化炭素(CO2)を排出しないものの、タイヤの摩耗により粉じんが生じる問題については克服できていない。この問題に取り組み、EV用タイヤの改良を手掛けている英新興企業が注目を集めている。

 タイヤ摩耗粉じんはマイクロプラスチックの一種だ。海洋に流れ込むマイクロプラスチックの最大28%はタイヤ由来とされる。

 分析会社のエミッション・アナリティクス(Emissions Analytics)が今年行った調査によれば、ほぼ同じ大きさの米EV大手テスラ(Tesla)の「モデルY(Model Y)」と韓国・起亜自動車(Kia Motors)のハイブリッド車「ニロ(Niro)」を比較した場合、発生するタイヤ摩耗粉じんはモデルYの方が26%多かった。調査報告は理由として、重量が重いことに加え、加速性能が高い点を挙げている。

 こうしたEVの特徴に適したタイヤの開発を手掛けているのがENSO社だ。創業者のグンレグル・エルレンドソン(Gunnlaugur Erlendsson)最高経営責任者(CEO)は19日、米ニューヨークでAFPの取材に対し、高品質の原料と設計の改善を通じてタイヤの耐久性向上を目指していると語った。

 英ロンドン交通局(TfL)が行った実装試験によると、ENSOのタイヤは、タイヤ摩耗粉じんの発生量が35%少なく、走行距離を10%伸ばすことが確認されたという。

 同社はこの日、国連(UN)総会に合わせて開催された、環境問題の解決に向けた革新的な取り組みを表彰する「アースショット賞(Earthshot)」の選考会で、最終候補(15社)に選ばれた。授賞者は11月、シンガポールで発表される予定だ。(c)AFP/Issam AHMED