【9月19日 AFP】デンマークの裁判所は18日、アート作品の素材として使うために美術館が提供した7万ユーロ(約1100万円)相当の現金を使わずに、代わりに真っ白なキャンバス2枚を「金の持ち逃げ」と題して納品したアーティストに対し、一部費用などを除いて返金するよう命じた。

 北部オールボー(Aalborg)にあるクンステン美術館(Kunsten Museum)は、アーティストのイエンス・ハニング(Jens Haaning)氏に対し、現金を並べてデンマークとオーストリアの平均年収を表した過去の作品の再制作を依頼。7万ユーロ相当の現金を、デンマーク・クローネとユーロで預けた。

 この件についてコペンハーゲンの裁判所は、美術館が預けた額からアーティスト報酬と額装代を引いた49万2549クローネ(約1040万円)を返金するようハニング氏に命じた。

 ラッセ・アンデルセン(Lasse Andersson)館長はかつてAFPの取材に対し、2021年に初めてこの白いキャンバスを見た際には大笑いし、そのまま展示することに決めたと話していた。

 アンデルセン氏は、この作品は「ユーモアのあるアプローチ」で、「作品を評価するという行為を考察」していると説明していた。

 一方でハニング氏が返金を拒否したことから、提訴する可能性にも言及していた。

 ハニング氏はTV2が18日に放送したインタビューで、美術館はこの騒動をめぐるメディア露出で、失った額よりも「はるかに多くの利益」を得たはずだと話した。(c)AFP