【9月18日 AFP】心臓発作を起こした人を救命するために一般の発見者が心肺蘇生法(CPR)を行う対象は、男性よりも女性の方が少なく、これが心臓発作を起こした女性の生存率を低くしているとする査読前論文が18日、公表された。

 CPRは、人工呼吸と胸骨圧迫(心臓マッサージ)を組み合わせた処置で、心臓が停止している人の脳に血液を送り込み、救急隊が到着するまでに行う救命方法だ。

 カナダの医療チームは、一般人がCPRを行う対象の男女差について、2005〜2015年に米国とカナダの医療機関以外の場所で心臓発作を起こした4万人近い患者の記録を調査した。全体で見ると、路上などの公共の場で一般人からCPRを受けていたケースは54%で、このうち男性は68%だったのに対し、女性は61%だった。

 調査を行ったモントリオール・サクレクール病院(Hopital du Sacre-Coeur de Montreal)の救急医、アレクシス・コルノイエ氏はAFPに対し、この格差は「心停止後の女性の死亡率を確実に押し上げている」と指摘した。

■女性の胸に触れることへのためらいが関与か

 男女差が生まれている理由についてコルノイエ氏は、公の場で本人の同意を得ずに女性の胸に触れることへのためらいが関係している可能性があると話す。データによると、女性の年齢に差はなかったという。

 また、発作が起きる前の症状として、男性はメディアで一般的に伝えられる胸痛を訴える人が多いのに対し、女性は息切れを感じる人が多いとの研究結果が先月、医学誌ランセット・デジタル・ヘルス(Lancet Digital Health)誌に掲載された。

 こうした違いから、女性の場合は、心臓発作を起こしてるか否かの点において「認識の壁」が存在していることも考えられるとコルノイエ氏は説明した。

 その上で、男女差を明らかにするには、CPRを行う側の性別などを含め、さらなる研究を要すると述べた。(c)AFP