【9月15日 AFP】英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)は14日夜、中国の李尚福(Li Shangfu)国防相について、中国当局の調査対象となり職を解かれたと米政府が判断していると報じた。FTは情報源として、米当局者3人と消息筋2人を挙げている。

 中国では高官が消息不明となった後に解任される事例が相次いでいる。

 7月には、秦剛(Qin Gang)前外相が謎の失踪の末に解任された。さらに、核ミサイル部隊を管轄する人民解放軍(PLA)ロケット軍の李玉超(Li Yuchao)前司令官も、数週間動静不明になった後、解任された。国営新華社(Xinhua)通信は解任理由を報じていない。

 米ホワイトハウス(White House)は本件について公式にコメントしておらず、ジョー・バイデン(Joe Biden)政権が李国防相について、調査対象となっていると結論付けた理由は明らかになっていない。

 李国防相は8月15日、ロシア・モスクワ近郊で開催された安全保障会議に出席した。2日後には、ベラルーシの首都ミンスクでアレクサンドル・ルカシェンコ(Alexander Lukashenko)大統領と会談している写真が、同国政府によって公開された。

 中国の習近平(Xi Jinping)国家主席を公然と批判してきた米国のラーム・エマニュエル(Rahm Emanuel)駐日大使は、2度にわたってこの問題に関する臆測をあおった。

 エマニュエル氏は7日、X(旧ツイッター〈Twitter〉)公式アカウントに、「習政権の陣容は今や、アガサ・クリスティ(Agatha Christie)の小説『そして誰もいなくなった (And Then There Were None)』に似ている。まずは秦剛外相が行方不明。次にロケット軍司令官らが行方不明。そして今度は李尚福国防相が2週間公の場に姿を見せていない」とハッシュタグ「#MysteryInBeijingBuilding」を付けて投稿した。

 14日にも、習政権をあからさまに挑発しているかのような投稿をし、中国当局が李国防相の行動を制限しているのではないかという疑問を提起した。「まず、李尚福国防相は3週間動静不明となっている。次に、ベトナム訪問も欠席した」「そして今度は予定されていたシンガポール海軍司令官との会談も欠席した。自宅軟禁に置かれているからだろうか」と記した。(c)AFP