【9月14日 AFP】男子ボクシングの元世界王者でイラン系フランス人のマヤル・モンシプール(Mahyar Monshipour)氏とノーベル平和賞(Nobel Peace Prize)受賞者のイラン人権活動家シリン・エバディ(Shirin Ebadi)氏を含む団体が、国際オリンピック委員会(IOC)に対して、イランを2024年パリ五輪から追放するよう要請した。

 7月末にIOCに送られた書簡の中では、「スポーツの実践はひとつの人権である」とする五輪憲章を順守していないイランは、スポーツにおける差別無しの原則に違反していると記されていたと、弁護士のフレデリック・ティリエス(Frederic Thiriez)氏は記者会見で明かした。

 ティリエス氏はまた、同憲章には「人種、肌の色、性別、性的指向、言語、宗教、政治的またはその他の意見、 国あるいは社会的な出身、 財産、 出自やその他の身分などの理由による、 いかなる種類の差別」もしてはならないと明記されていると述べ、「スポーツ仲裁裁判所(CAS)への付託」や請願に取り組んでいると付け加えた。

 これに対して、IOCからは「イランの状況を注意深く監視しており、安心してほしい」との返答があったと、ティリエス氏は話している。

 同団体は少なくとも、レスリングやボクシング、水泳、セーリングなど女子選手の参加が禁じられている種目で、イランの選手たちがパリ五輪から追放されることを望んでいる。

 オランダに難民として滞在している元女子レスリング選手のシリン・シルザド(Shirin Shirzad)氏は、「私たちは自分たちのスポーツを普通に練習することを夢見ている」とビデオ通話を通じて話した。モンシプール氏によると、女性は「アパートや地下室」で練習をしているという。

 先月には、2団体がパリで、当時訪仏していたイラン国内のパラリンピック委員会のガフール・カルガリ(Ghafoor Kargari)会長を、拷問と人道に対する罪で告訴していた。また、服装規定違反の疑いで逮捕されたクルド系のマフサ・アミニ(Mahsa Amini)さんが道徳警察の拘束下で死亡した問題をきっかけに、昨年9月からイラン全土で抗議運動が発生した。(c)AFP