【9月16日 AFP】ブラジル北部マラジョ(Marajo)島を訪れると、無数の水牛の姿が目に飛び込んでくる。

 水牛はインドや東南アジア原産。泳ぎが得意なので沖合で沈没した船から島にたどり着いたとか、フランス領ギアナから脱走した囚人がマングローブの移動に使ったという説があるが、本当の由来は謎だ。現在では島の人口44万人よりも多い、約50万頭が生息している。

 体重1.2トン、体長2.5メートルにもなる水牛はこの島で使役動物として人気で、台車を引いて歩いたり、畑仕事を手伝ったりしている。

 レストランのメニューにもよく登場し、分厚くてジューシーなバファローステーキにバファローチーズが添えられている。

■「バファロー・ソルジャーズ」

 この島の水牛が特別なのは、経済活動の中心地ソウレ(Soure)をパトロールする憲兵隊に採用されている点だ。水牛たちは背中に特別仕様のくらを着けられ、重装備の憲兵を乗せて歩いている。

 こうして誕生したパトロール隊は、レゲエ音楽の先駆者ボブ・マーリー(Bob Marley)がたたえた19世紀米陸軍の黒人連隊にちなみ、「バファロー・ソルジャーズ(Buffalo Soldiers)」と呼ばれている。

 水牛は雨期でも、ぬかるんだマングローブを簡単に横切ることができる。憲兵隊によると、馬やオートバイではかなわない速さだという。

 だが、水牛を乗りこなすのは容易ではなく、何か月にも及ぶ訓練を要する。

「水牛は1キロ以上離れたところからでも、犯人の匂いをかぎつけるというベテラン隊員もいる。だが、これは新人隊員をからかう冗談だ」とアビス氏は笑った。(c)AFP/Carl DE SOUZA