【9月9日 CGTN Japanese】「天津」と言えば、「天津甘栗」や「天津飯」を思い浮かべる日本人が多いですが、地元天津では、余り知られていません。しかし最近、天津の飛び込みおやじが中国のネット上で大きな話題を呼んで注目されています。

 中国北方の都市・天津(Tianjin)。市内を流れる海河には長さ100メートルの獅子林橋が架かっています。数十年前から、地元のおやじたちはこの橋に集まって飛び込みを楽しみながら体を鍛えてきました。そして最近、おやじたちの飛び込みの映像がネット上で拡散され、大きな人気を呼んでいます。100メートルの獅子林橋には、おやじたちの飛び込みをライブ配信したり、ライブコマースをしたりするインフルエンサーが大勢殺到し、朝から夜まで賑わっています。「世界で飛び込みのドリームチームは中国勢で、中国で飛び込みの達人は天津おやじ」とまで言われています。

 実は、飛び込み達人の「天津おやじ」が旬の人になったのは、数日前に遡ります。あるおやじが飛び込む前に、即興で中国の漫才、相声を披露しました。そのシーンがあるネットユーザーに撮影され、動画共有アプリに投稿されて人々の注目を集めました。獅子林橋で数十年も飛び込みを楽しんできた天津おやじたちは一気にネット上の有名人となり、獅子林橋も旬のホットスポットとなりました。おやじたちの飛び込みを見るために大勢の人が天津を訪れ、おやじたちの飛び込みをライブ配信する人もいれば、そのまねをして飛び込みにチャレンジする人もたくさん現れました。

 これについて、飛び込みおやじの一人「沐雨秋哥(ネット名)」さんは、「ここで飛び込みをしているおじさんやおばさんたちは、1日や2日のことじゃなく、小さい頃からやり続けて、いまのようなテクニックがあるんだ。橋の欄干から水面までの高さは7メートルで、半端じゃないよ。(勝手に飛び込む人がいて)ここ数日で何回も救急車を呼んだのよ」と人々の飛び込み熱を憂慮し、「普段ここで飛び込みをしているおやじたちは、いまは橋の上で人混みの整理や、気楽に飛び込みにトライしようとする若者を注意したりするのに精一杯で、もう飛び込む余裕なんかないよ」と嘆きました。

 飛び込みおやじの人気上昇に伴って、獅子林橋も人気スポットになりました。1954年に架けられたこの橋は地元では交通面で重要な役割を担っているだけでなく、橋には1181個の大小さまざまな獅子の彫刻が施されています。地元の住民は小さい頃から獅子林橋の獅子の数を数えながら育ち、大人になってからは自分の子どもを連れてここの獅子を数えに来ているのです。

 しかし今、人気になった獅子林橋は朝から晩までびっしりと込み合っており、通行人や車の通行の支障になっているほか、人混みによる混雑で安全面での危険性も増しています。ここ数日、地元の交通管理部門や警察、ボランティアは橋の両端で秩序の維持や飛び込もうとする人への注意に力を入れ、治安部門もパトロールを強化して、水上パトロール船を出して飛び込む人への注意と救助に最善を尽くしています。

 このような情勢に対して、「違法な飛び込みは一律に禁止すべきだ」との声も上がっていますが、専門家は地元高齢者の趣味やライフスタイルを尊重するため、一概に禁止すれば済むようなことではなく、都市河川の開発によって住民に飛び込みのできる公園や、観光客に観賞しやすい場所を提供すべきだと指摘しています。(c)CGTN Japanese/AFPBB News