【9月4日 AFP】タイの首都バンコクで2日、著名建築家でアーティストのドゥアンリット・ブンナーク(Duangrit Bunnag)さんが、牛ふんを投げ付けてもらうというパフォーマンスアートを行った。5月の総選挙で第2党となったタイ貢献党が、親軍政党と連立政権を組むことに抗議するもの。

 タイでは5月の総選挙で革新派の前進党が第1党となったものの、保守派の反発が強く、政権を樹立できず、長らく政治的に行き詰っていた。

 しかしタイ貢献党が、軍と関係が深い国民国家の力党(PPRP)とは連立を組まないとしていた公約を破り、PPRPを含む11政党から成る連立政権を樹立することになった。

 ドゥアンリットさんは先に、「もしタイ貢献党がPPRPと手を組むなら、私にくそを投げ付けても良い」と宣言していた。

 ドゥアンリットさんは2日、約束を果たすためラックシー(Lak Si)地区に防護服と防護マスクを着けて現れた。参加者は白いシートの上にひざまずいたドゥアンリットさんに牛ふんを投げ付けた。

 2014年のクーデターの首謀者の一人で、PPRP党首のプラウィット・ウォンスワン(Prawit Wongsuwan)氏の顔を模したマスクを着けたある参加者は「ドゥアンリットはある政党を信じていたが、その党は自分たちの言葉を守らなかった」と話した。「ドゥアンリットは彼らの代わりにふんを浴びなければならない」

 ドゥアンリットさんはパフォーマンス後の取材は拒否した。ただ、事前に「こうすることによってのみ、ありのままに生きる自由、行動する自由がある人生を私は送ることができる」との声明を出している。

 現場には医療チームが控えており、パフォーマンスが終わるとドゥアンリットさんは直ちに救急車で搬送された。

 トサポーン・セラック医師は、ドゥアンリットさんには健康リスクが伴うと警告し「やめるよう説得したが駄目だった」とAFPに話した。

 ただ、「約束を守ったのは良いことだ」と付け加えた。(c)AFP/Rose TROUP BUCHANAN