【9月3日 AFP】ロシアで学校が新年度を迎えた1日、ウクライナ侵攻についてロシア政府の解釈を教えることを目的とした新しい軍国主義的な教育課程が始まった。ロシアでは既に、「重要な対話(Important Conversations)」と呼ばれる愛国的な授業が行われている。

 ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領はこの日、成績優秀な児童・生徒30人を選抜して授業を行った。第2次世界大戦(World War II)に言及し、「わが国は絶対無敵だった。今もそうだ」と語った。

 プーチン氏はまた、ビデオ通話を通じてロシア占領下にあるウクライナ南東部マリウポリ(Mariupol)にある学校の開校式に出席した。占領後、公共の場からウクライナを象徴する物を撤去してきたロシアが任命した当局は、市中心部に長いロシア国旗を広げた。

 新教育課程には、基礎軍事訓練が含まれる他、長らく廃止されていたソ連時代の科目が復活。さらに、プーチン氏の側近で、強硬派のウラジーミル・メジンスキー(Vladimir Medinsky)大統領補佐官が監修した新しい歴史教科書が使われる。

 ウラル(Ural)山脈のふもとに位置するエカテリンブルク(Yekaterinburg)で歴史教師を務めるタチアナ・ バラバノバさんは、新しい教科書を絶賛した。表紙には、プーチン政権の象徴となっているクリミア(Crimea)半島と本土を結ぶ橋が描かれている。

  バラバノバさんは「若者はわが国を中傷する大量のフェイクに惑わされている」と、プーチン氏の演説を思わせる言い回しを使った。

「この新しい教科書には、勇気や英雄的な振る舞いについて、非常に分かりやすい例が紹介されている」と話した。

 教科書には、ウクライナ侵攻を称賛する箇所だけでなく、2014年のクリミア併合についてロシアが「平和を守った」と説明する箇所もある。

  バラバノバさんの同僚で体育教師のエレーナ・ソバキナさんは、新たに始まる基礎軍事訓練で使用するガスマスクや、救急訓練用のダミーの手を見せた。

 基礎軍事訓練の対象は15~18歳。ソバキナさんは「子どもたちは兵役とはどのようなものかを理解するだろう」と話した。

 同校は「戦闘用無人機の戦術訓練と理論訓練」も実施。ソバキナさんは、ウクライナの前線で戦う兵士から話を聞く機会も設ける計画だ。(c)AFP