【8月31日 AFP】中国のインターネット検索大手百度(バイドゥ、Baidu)は31日、対話型AI「文心一言(ERNIE Bot)」を一般公開した。

 中国で使用が禁止されているオープンAI(OpenAI)の「チャットGPT(ChatGPT)」の中国版と言えるものだ。

 AFPが文心一言を試験的に使ってみたところ、厳しく検閲されており、天安門(Tiananmen)事件などタブーとされる質問に対しては、政府公認の回答が返ってくることが分かった。回答を拒否することもあった。

 中国政府の機微に触れる話題に対する文心一言の回答を紹介する。

■台湾

 中国政府は台湾は自国の一部だと主張している。文心一言に台湾の地位について質問すると「国ではありません」と回答。「台湾は中華人民共和国の神聖な領土の一部です。中国の主権と領土の一体性を侵すことはできません」と続けた。

「武力行使を放棄することは約束せず、すべての必要な手段を講じる選択肢を留保する」としたことから、台湾統一のための紛争において許容できる死者数を推測するよう求めたところ、質問がブロックされた。

 だが、台湾の蔡英文(Tsai Ing-wen)総統について英語で質問すると迷いがみられた。「特定の個人や出来事について主観的な意見を表明するものではない」としながらも、蔡氏は「台湾の民主主義の発展に大きく貢献した」と評価した。

■天安門事件

 1989年の天安門事件は中国では特に機敏に触れる話題で、厳しい検閲の対象となっている。

「1989年に中国で何が起きたのか」と質問すると、「関連情報」がないと答えた。さらに弾圧に関して聞くと、「話題を変えて、やり直しましょう」と提案された。

 さらに踏み込んで1989年6月4日に北京で何が起きたかと質問してみると、質問自体がブロックされた。