【8月31日 AFP】インド南部タミルナド(Tamil Nadu)州マドゥライ(Madurai)。熟練の職人が白色のジャスミンの花を摘み取ると、辺り一帯はうっとりするような香りに包まれる。摘み取られた花は世界各地に輸出される香水の原料に加工される。

 ジャスミンは夜に開花した時のみ強い香りを放つため、まだ開花していないものを選んで摘まなければならない。

 インドでは、香り高いジャスミンの花は数千年にわたり神々にささげられてきた。そして現在では、世界的に有名な香水にも使われている。

 マドゥライには、街の至る所でジャスミンの花を見かける。女性が髪留めにしたり、街の守護神とされるヒンズー教の女神ミナクシ(Meenakshi)が祭られている14世紀の建物内に供えられたりしている。

 マドゥライで栽培されているのは「ジャスミンサンバック」というアジアの品種だ。その「深い香り」から、2013年には国から「地理的表示」を認められた。

 この街は、クリスチャン・ディオール(Christian Dior)、ゲラン(Guerlain)、ブルガリ(Bulgari)など世界的に有名な香水ブランドのバイヤーを引き付けてやまない。

 AFPの取材に応じた、ジャスミン畑を訪れていたゲランの調香師ティエリー・ワッサー(Thierry Wasser)氏によると、マドゥライのジャスミンは「滑らかで、変わることのないフローラルな香り」がする。

 ジャスミンのエッセンシャルオイルを製造するジャスミン・コンクリート(Jasmine Concrete)の幹部、ラジャ・パラミスワミ(Raja Palaniswamy)氏は、「世界で最も高価なオイルの一つだ」と話す。オイルは1キロ約4200ドル(約61万円)で、生産には摘みたてのジャスミンの花約700キロが使われる。

 映像は6月26~28日撮影。(c)AFP/Aishwarya KUMAR