【8月31日 AFP】26年にわたる深海漁業調査によって、海洋熱波は概して魚の数に影響しないことが分かった。研究結果は30日、英科学誌ネイチャー(Nature)に発表された。

 論文の主著者を務めた米カリフォルニア大学サンタクルーズ校(University of California, Santa Cruz)のアレクサ・フレッドストン(Alexa Fredston)助教(海洋科学)はAFPに「驚きの結果だ」と述べた。

「魚群が長期的な海洋の温暖化の影響で、極地方向へ移動していることは知られてきた。同様に魚の種類についても、海洋熱波の後には暖海性魚類が増え、寒海性魚類が減っていることを予想していた」と述べた。だが今回の調査によって、海洋熱波でそのような増減は一般的に起きていないことが判明したという。

 研究チームは1993~2019年に、大西洋北部と太平洋北東部でトロール調査によって捕獲された1769種、8万2000匹の魚のデータと、同期間に記録された248回の海洋熱波(海水温が平均より極端に高い状態が5日以上続く現象)のデータを比較分析した。

 魚の数は14~16年の海洋熱波の後、アラスカ湾(Gulf of Alaska)で22%減少したり、12年の海洋熱波の後には米北東部で70%増加したりしていたが、こうしたケースは例外で常に起きてはいないという。

 研究では「海洋生態系の変動が非常に激しい中、世界で最大かつ最も生産的な漁業を支える魚群において、海洋熱波によるバイオマス(生物量)の変化や生息種の入れ替わりは起きていない」と結論付けている。(c)AFP