■困難が予想される任務

 シャンドル氏は同月中に駐ハンガリー大使に指名されたが、ハンガリー側のノバーク・カタリン(Katalin Novak)大統領がそれを承認したのは8月に入ってからだった。

 首都ブダペストを拠点とするシンクタンク「ポリティカル・キャピタル(Political Capital)」のクレコ・ペーテル(Peter Kreko)氏はAFP対し、承認に時間がかかったことにも緊張の強さが表れているとみられ、「シャンドル氏に託される関係改善という任務は非常に難しいものになるだろう」と語った。

 また、ウクライナを拠点とする中欧戦略研究所(Institute for Central European Strategy)のドミトロ・トゥジャンスキー(Dmytro Tuzhanskyi)所長は「シャンドル氏がキャリア外交官でないことは強みだ。過去のいさかいに縛られなくて済む」と述べ、同氏にとって関係改善の「チャンスは大きい」との見方を示した一方で、「ウクライナとハンガリーの関係の複雑さを考えれば、(映画「007」シリーズ)のジェームズ・ボンド(James Bond)でさえ一人で突破口を開くことはできないだろう」と話した。

 シャンドル氏は、首都キーウにあるウクライナ軍が鹵獲(ろかく)したロシア側の軍需品が展示された広場のそばでAFPのインタビューに応じた。

 戦時下の今、最も難しい外交ポストの職務にどう取り組んでいくつもりかという質問に対し、シャンドル氏は穏やかな口調ではあるものの、険悪な雰囲気を和らげていく意欲を示した。「オルバン氏はハンガリーの国益を守り、ウクライナはウクライナ国民の利益を守る。われわれは共通の立場を探っていく」 (c)AFP/Anuj Chopra