【8月23日 東方新報】少林拳で有名な中国・河南省(Henan)の仏教寺院・嵩山少林寺(Shaolin Temple)で8月12日、囲碁の腕を競う「第1回中国禅棋大会」が開幕。禅宗(禅)と囲碁(棋)の歴史的な結びつきを象徴する催しで、中国の囲碁界トップや日本の棋士、書道家も参加して交流を深めた。

 囲碁は中国発祥とされ、後漢の歴史家・班固(Ban Gu)が西暦1世紀に著した「弈旨」は現存する最古の囲碁理論書として知られる(「弈」は「碁」の意味)。

 嵩山少林寺は、中国に1500年前に渡来したインドの高僧・達磨(ダルマ)が禅を伝えた地と伝えられる。囲碁と禅宗の関係は深く、多くの僧が有名な棋士として歴史に名を残している。

 中国禅棋大会では、第4回少林寺黒白囲碁オープン大会や囲碁と禅の文化展、講演会などを開催。少林棋院の釈延勇(Shi Yanyong)院長は講演で「嵩山は囲碁の起源の一つです。囲碁をすることは座禅を組むことに通じる。私たちは『以弈悟禅(囲碁によって禅を悟る)』の道を広めていきたい」と話した。中国囲碁協会の常昊(Chang Hao)主席は「囲碁は中国発祥の優れた伝統文化です。禅宗の拠点である嵩山少林寺で囲碁の大会が開かれることは意義深い」と語った。

 大会に合わせ、嵩山少林寺には中国囲碁協会の王汝南(Wang Runan)名誉主席、現代中国のプロ棋士制度第1号の聶衛平(Nie Weiping)さん、日本の棋士・武宮正樹(Masaki Takemiya)九段らが集結した。囲碁オープン大会に優勝した陳楊(Chen Yang)八段と武宮九段との記念対局も行われた。日本のトップ棋士が中国に渡航して対局する姿に、会場からは「『未完の対局』のようだ」という声も。戦前から戦後にかけて日本と中国の天才囲碁棋士の交流を描いた戦後初の日中合作映画「未完の対局(中国語題・一盤没有下完的棋)」をほうふつとさせていた。

 大会には日本の書家・柳田泰山(Taizan Yanagida)さんも訪れ、禅宗の重要古典「達磨血脈論」を書いた六曲屏風を寄贈。少林寺の釈永信(Shi Yongxin)住職は「達磨大師は1500年前に中国で禅宗を創始し、達磨信仰は日本にも根付いている。今回の屏風の寄贈は、中日文化交流のモデルであり、中日友好の象徴となります」と感謝していた。(c)東方新報/AFPBB News