【8月22日 AFP】タイ・バンコク市内のホテルの敷地に、翼が生えた人間のような形をした黒い像が出現し、仏教とは相入れないものだとして撤去を求める声が上がるなど物議を醸している。

 バンコク市内には、大小さまざまな祠(ほこら)や像が無数にあり、供物を捧げたり、祈ったりする人も多い。

 しかし、今月9日に四つ星のバザール・ホテル(Bazaar Hotel)前に設置された像「クルー・ガーイゲーウ」をめぐっては、御利益があるという人がいる一方で、仏教とは異質で冒涜(ぼうとく)的だとの声も上がっている。

 タイ仏教を促進するための芸術家協会は「何かを崇拝するならば、仏教の教えに即していなければならない」として、ホテルに撤去を求めている。

 英字紙ネーション(Nation)によると同協会は、信者らが像にいけにえの動物を捧げようとするなど「普通ではない」儀式を計画していると主張している。

 バザール・ホテルはAFPに対し、像は土地を借りている第三者が設置したものだと説明した。

 クルー・ガーイゲーウが何なのかはよく分からないと、仏教専門家のシンチャイ・チャオジャルーンラット(Sinchai Chaojaroenrat)氏は指摘する。民間神話に基づいているが、シャーマンだという説もあれば、クメール王朝の王の教師だったという説もあるという。

 バンコクのチャッチャート・シッティパン(Chadchart Sittipunt)都知事は、出現した像について調査するよう命じた。しかし、設置されているのは私有地のため、当局ができることはほとんどない。

 それでも都当局者はAFPに対し、人々が怖がらないよう、ホテル側が像を何かで覆うといった工夫はできると示唆した。

 一方、ホテルのチャーリー・ノッパウォン・ナ・アユタヤ(Charlie Noppawong Na Ayuddhaya)代表は、像が設置されるまでホテルの経営状態は良くなかったが、「像が設置されて以降、今年末まで9割部屋の予約が埋まっている」と話した。

 映像は18日撮影。(c)AFP/Montira RUNGJIRAJITTRANON