【8月24日 AFP】米玩具大手ハスブロ(Hasbro)の電子ペット「ファービー(Furby)」からファストフード大手マクドナルド(McDonald's)の「グリマス(Grimace)」まで──。このところ、数十年前に人気になったキャラクターを再起用し消費者の懐かしさに訴える「ブランド復活」戦略に改めて乗り出す企業が増えている。

 マクドナルドは直近の四半期決算で、ずんぐりした紫色のグリマスが予想を上回る利益の源泉となったと明かした。

 グリマスは1970年代にマックシェイクのイメージキャラクターとして初登場した。このグリマスをモチーフにした紫色のベリー味シェイクを期間限定で販売したところ、ソーシャルメディアで話題となり、売上増に貢献した。

 先月、マクドナルドのクリス・ケンプチンスキー(Chris Kempczinski)最高経営責任者(CEO)は「グリマスはここ数か月、至る所で話題になり、ニュースでも取り上げられ、ティックトック(TikTok)での動画再生回数は30億回を超えた」と述べた。

 消費者インサイト企業GWIのトレンドマネージャー、マット・スミス(Matt Smith)氏は、「ネット上で注目されただけでなく、店頭でこのシェイクや他の商品を買うきっかけをつくった」と述べ、相乗効果で好調な売上につながったと分析した。

 調査会社グローバルデータ・リテール(GlobalData Retail)のニール・サンダース(Neil Saunders)氏は、グリマスのような人気キャラクターはTシャツなどの絵柄にもなりやすく、そのように利用されれば「マクドナルドにとって実質無料の広告になる」と述べた。

■過去が持つ「安らぎ」

 この種のリバイバルは、マーケティングの世界では「ブランド復活」と呼ばれる。

「消費者に、若かりし頃、古き良き時代を思い出させる」点がポイントだと、米ウースター工科大学(Worcester Polytechnic Institute)のマーケティング学教授プルビ・シャー(Purvi Shah)氏は説明する。

 また、こうした商品は「若かった時には買えなかった物を食べたり、楽しんだりする機会」を与えてくれるため、親子で楽しさを共有することもできる。

「過去にはちょっとした安らぎがある」とグローバルデータ・リテールのサンダース氏も語る。「今はとても不確かな時代だ。新型コロナウイルスの世界的大流行を経験し、経済不安や戦争もある」。昔の記憶は脳内でセロトニンやドーパミンといったポジティブな化学物質の生成を促し、ストレスを軽減する。

 企業は長年、消費者に懐かしさを呼び起こすノスタルジアマーケティングを行ってきたが、このところソーシャルメディアによって過熱ぶりを見せている。