【8月17日 AFP】パキスタン東部で16日、キリスト教徒がイスラム教の聖典コーラン(Koran)を冒涜(ぼうとく)したとの疑惑が広まったのを受け、暴徒化した大勢のイスラム教徒が教会に放火し、キリスト教徒の家々を破壊した。当局が明らかにした。

 現場は、パンジャブ(Punjab)州の工業都市ファイサラバード(Faisalabad)郊外のキリスト教徒が多数派を占める地域。

 現地当局のアハド・ヌール(Ahad Noor)氏はAFPに対し「暴徒は、キリスト教徒の家々や多くの教会など、同地域に大きな被害をもたらした」と説明した。

 警察や救急は、少なくとも教会4堂が放火されたとしているが、住民らは教会として使われている建物十数棟が被害を受けたと主張している。

 パンジャブ州のアミール・ミール(Amir Mir)情報相は、警察官数千人を派遣して現地の安全を確保し、数十人を拘束したと述べる一方、コーラン冒涜疑惑についても非難した。

 キリスト教徒の男性(31)はAFPの電話取材に応じ、暴徒に襲われた教会近くの狭い路地にある自宅から逃げ出したと語った。

「暴徒は窓を割り、ドアを壊し、冷蔵庫やソファー、椅子などの家財を持ち出して、教会の前に積み上げ火を付けた。聖書も冒涜され、燃やされた。彼らは無慈悲だった」と続けた。

 イスラム教を国教とするパキスタンでは、同教を冒涜すれば死刑を科される可能性がある。(c)AFP