【8月17日 AFP】ベトナムの首都ハノイの公立動物園で、年老いたゾウ2頭が足を鎖につながれて飼育されている状況に国内で怒りの声が上がっている。動物愛護団体が2頭を国立公園に移すよう求めており、同団体が呼び掛けたオンライン署名には7万人近くが賛同した。

 2頭の雌のゾウ、「タイ」と「バナン」の話題はここ数週間、国営メディアでも大きく取り上げられている。

 AFP取材班が同園を訪れた16日朝も、2頭は鎖につながれたまま餌を与えられていた。職員の一人は匿名を条件に取材に応じ、「ゾウはかなり凶暴だ。電気柵が壊れているので、鎖でつなぐしかなかった」と説明した。

 2頭はそれぞれ2010年と14年に、ベトナム南部と中部高原からこの動物園に連れてこられた。

「同じ群れにいたゾウではないので、けんかを防ぎ、飼育員の安全を確保するために最善を尽くす必要があった」と職員は語った。世話は万全で、餌は1日3回与えているという。

 だが、動物愛護団体「アニマルズアジア(Animals Asia)」は今月、ハノイ市当局に書簡を送り、2頭を中部高原にあるヨックドン国立公園(Yok Don National Park)内のジャングルに移すよう要請した。

 同団体は「ハノイの動物園のゾウは、かなり長期間鎖につながれていた」「このままでは2頭とも健康状態が悪化してしまう」と訴えている。

 別の動物擁護団体ベトナム・アニマル・アイズ(Vietnam Animal Eyes)も今月初め、2頭の解放を要求する署名を開始した。

 だが、国営メディアによると、同園の園長はそうした要求は「筋違い」だと述べている。ニュースサイト「ダントリ(Dan Tri)」によれば、園長は「2頭の年齢は(人で言えば)60〜70歳で、当園に10年以上いる。餌の探し方も身を守る術も知らないので、自然に帰せば死んでしまうだろう」と述べた。(c)AFP