【8月15日 AFP】イラクの首都バグダッドでは14日、2日連続で気温が50度を超えた。市内唯一の動物園では、敷地内に設けられた池のほとりで、2頭のアムールトラが暑さにあえいでいた。

 外出するには暑すぎるためか、来園者の姿は見えない。サルの鳴き声と鳥のさえずりが聞こえるのみだった。

 動物園のワシム・サリハ獣医師は、極東ロシアが生息地のアムールトラは、バグダッドのような世界で最も暑い都市の一つではなく「氷点下20度まで気温が下がる場所」で暮らすのに適していると指摘した。

 同園は資金不足に加え、長年の政情不安と管理体制の不備で設備の劣化が進んでおり、ライオンやクマ、サルなど約900いる動物たちの状況は悪化している。

 サリハさんは、おりの多くは屋外に設置されており、寒い気候に適した動物用の場所がないと説明した。気温を下げるため、ライオンのおりの前には冷風機を設置した。クマやトラ用にはプールが用意された。

 またイラクは電力不足に陥っており、1日最大10時間の停電が発生している。

 ハイダル・ザミリ園長は、大規模な改修は1970年代が最後だったと語った。当局から支給されるわずかな資金でどうにか運営している状態だ。このため、園にいる動物の寿命は他に比べて短いという。同園のアムールトラの寿命は17~18年だが、他の園では20~25年で、その違いは気温の差に起因するとザミリ氏は指摘する。

 最近ではクマやライオン、鳥が死んだが、一部は気候変動による気温の上昇によるものだという。

 映像は8日撮影。(c)AFP/Salam Faraj