■ベラルーシの政治難民も多数受け入れ

 だが、反政府デモ以降、ポーランドがベラルーシ人にとって安全な避難先となった。公式の統計によれば、外国人としてはウクライナ人に次いで2番目に多い。今年の時点で滞在しているベラルーシ人は7万9030人と、反政府デモ前の3倍に膨れ上がっている。

 ポーランドは20年、ベラルーシの技術専門職の人にビザ(査証)を迅速に発給する制度を導入した。反移民的な政策を転換し、「民主的で自由市場の経済天国」だとアピールし、現在は最もベラルーシ政治難民を受け入れている国となっている。

 エレナさん(49)は21年後半、治安当局の標的になるのを懸念してベラルーシを離れた家族の後を追い、出国した。AFPの電話取材に応じ、「大半のベラルーシ人が、やむにやまれず祖国や家族を捨てた」と話した。

「ベラルーシにいたら、思想信念を理由に刑務所に入れられてしまう」

 人権団体によると、ベラルーシで現在勾留されている政治犯は1500人近くに上っている。

 ポーランドとベラルーシ間のバスを定期的に利用しているエレナさんは、今でも年に数回は帰国し、娘に会い、役所で必要な手続きを済ませている。

 しかし、故郷ベラルーシの状況は、ますます不安定になってきている。

 ベラルーシは、ロシアの民間軍事会社ワグネル(Wagner)による短期に終わった反乱後、同戦闘員を受け入れた。ルカシェンコ氏は、ワグネル部隊にはワルシャワ進軍計画があると主張している。

 ポーランドなど欧州連合(EU)加盟国は、ワグネル関連の事件が起きた場合、国境の完全閉鎖もあり得ると警告している。

「国境が完全に閉鎖されたら、ベラルーシの人々の生活はとても苦しいものになるはずだ」とエレナさんは語った。(c)AFP/Barbara WOJAZER with Magdalena PACIOREK in Warsaw