【8月15日 AFP】米ハワイ州マウイ(Maui)島で山火事が発生し、ハワイ王国時代の古都ラハイナ(Lahaina)では甚大な被害が出た。しかし、火の手が迫っている事態に、住民の多くはなかなか気付くことができなかったとみられている。

 多数の死者を出した山火事について、分かっていることをまとめた。

Q:火災が起きた経緯は?

A:8日の午前6時30分ごろ、ラハイナで山火事が発生した報告があり、一部住民が避難した。

 マウイ郡当局は、火は数時間後に消し止められたとする一方で、強風で送電線が倒れ、停電が発生していると注意を促した。火災の原因については、調査中だとフェイスブック(Facebook)に書いた。

 午後になり、再び炎上したとの報告があり、一部の住民に対して避難勧告や「屋内退避」勧告が出された。その後も延焼は続き、真夜中近くになって郡は、避難指示が出るまで今いる場所で待機するよう西マウイの全住民に呼び掛けた。

Q:なぜ火の手が迫っていることに気付かなかったのか

A:これまで無事だった地域にも延焼が広がったことで人々はパニックに陥ったと住民たちは話している。

 住民の一人は、直ちに避難しなければならないと知った住民たちがパニックに陥った時の様子を次のように語った。

「通りを走りながら『早く逃げて』と呼び掛ける人の声など、すべて口伝えだった」

「自転車で走り回って、逃げるようにみんなに叫んでいる人々もいた」

 9日朝までに、ラハイナの大半は、がれきと化していた。

 カリフォルニア大学マーセド校(University of California at Merced)の火災専門家、クリスタル・コルデン(Crystal Kolden)氏はロサンゼルス・タイムズ(Los Angeles Times)で、住民は何の前触れもなく、危険な山火事が起きていることに突然気付いたようだと指摘する。

「家の外で火事が起きていることに最初に気付くのは、窓から炎を目にした時がほとんどで、それでは手遅れになる」

「20世紀に発生した避難を伴う山火事の大多数とはそこが大きく違う。20世紀の山火事は、燃え広がるのが遅く、数時間、時には数日かけて避難する猶予があった」と話した。