【8月11日 AFP】中国で拘束されているオーストラリア人ジャーナリスト、チェン・レイ(Cheng Lei)氏が謎の逮捕から3年という節目にメッセージを公開し、2人の子どもやオーストラリアの太陽が「恋しい」と訴えた。

 メッセージは獄中にいるチェン氏と面会した、オーストラリア政府関係者が聞き書きをした。チェン氏はこれをオーストラリアへの「ラブレター」と称し、「サイケデリックな夕日」や「太陽が恋しい」と述べ、「独房の窓から日光は入るが、そこに立てるのは1年にわずか10時間ばかりだ」と嘆いている。

 また3年間、木を見たことがないと述べ、刑務所の寝具は年に一度しか外に干さないとも述べている。

 中国国営英語放送「中国国際電視台(CGTN)」でキャスターを務めていたチェン氏は2020年8月に拘束。翌21年2月、正式に逮捕された。その後、「国外へ国家機密を提供」した罪で起訴されたが、詳細については公表されていない。

 当時、中国とオーストラリア間の緊張が高まっていたため、逮捕劇は政治的策略ではないかとも言われた。同じく拘束された中国生まれのオーストラリア人作家ヤン・ジュン(楊軍、Yang Jun)氏の場合とよく比較される。ヤン氏は定義のあいまいなスパイ活動の罪に問われ、2019年から中国で拘束されている。

 チェン氏のメッセージはパートナーのニック・コイル(Nick Coyle)氏が10日、オーストラリアの報道機関とX(旧ツイッター〈Twitter〉)で公開した。

 コイル氏は昨年、チェン氏が獄中で抱える「さまざまな健康問題」について深刻に懸念していると述べていた。10日付のシドニー・モーニング・ヘラルド(Sydney Morning Herald)紙には「娘が高校へ上がるのも見ることができなかった。レイ(チェン氏)は一人っ子だが彼女の両親ももう若くない。時間はますますなくなっている」と語った。

 チェン氏はメッセージを「何よりも子どもたちが恋しい」という言葉で締めくくっている。

 昨年3月に行われたチェン氏の非公開裁判はオーストラリア大使でさえ傍聴を禁じられ、判決の言い渡しは先送りされた。終身刑が言い渡される可能性もあるとされる。(c)AFP