【8月13日 CGTN Japanese】中国では高齢化と1人暮らし世帯(単独世帯)の増加を背景に、近年、病院で診察を受ける患者に付き添う「臨時家族」が人気の新職業となっており、一部の付き添い人の月収は2万元(約40万円)を超えることがあります。

 中国国家衛生健康委員会がこのほど発表したデータによると、中国で慢性病を患う高齢者は1億9000万人を超えました。高齢者の生活介護、医療介護などに対する需要は大きいのに対し、高齢者介護サービスの基礎が脆弱で、子どもの仕事が忙しく、介護サービスをめぐる需給の矛盾が際立っています。

 また、中国民政部のホームページによると、2022年の中国の1人暮らし世帯は9700万世帯で、「1人暮らし」が多くの若者のライフスタイルとなっています。しかし、病院の関連規定によると、ほとんどの侵襲的な検査や手術には、付き添いや患者本人および家族の署名などが必要です。

 このような背景の下、多くの人にとって「お金を払って診察に付き添ってくれる人を探す」というニーズがある中、病院付き添いという職業が中国の各大都市で静かに生まれました。外来患者の番号取りから、診察待ちの付き添い、医師とのコミュニケーション、料金の支払い、薬の受け取り、さらに地元以外の都市での受診など、プロの病院付き添いは患者の診察のための準備をほぼすべて代行することができます。

 中国中部の湖北省(Hubei)武漢市(Wuhan)に住む「90後(1990年代生まれ)」の章章さんはSNSで、診察手続きの代行と診察の付き添いを担当しており、1日にほぼ600~800元(約1万2000~1万6000円)の収入があり、平均すれば月収は1万8000~2万5000元(約36万~50万円)になることを明らかにしました。現在、章章さんは、日中は付き添い業務で駆け回り、夜は心理学や医療サービス関係の本を読んだり、科学普及の動画を見たりして、関連知識を学んでいます。

 新しい業種として、中国では病院付き添いへの需要は徐々に増え続けています。中国の生活関連サービス大手「美団(メイトゥアン)」のデータを例にすると、今年6月末現在、「美団」のプラットフォームには病院付き添いサービスを提供する専門業者が1000社以上出現しており、業者数は2021年の9倍に増加し、注文件数は約13倍に達したということです。

 天津市(Tianjin)にある南開大学周恩来政府管理学院の王星教授はこれについて、「デジタル経済はさまざまな新規雇用を創出している。政府、学校と社会組織は力を合わせて新しい職業に従事する労働者の技能訓練をおこなうと同時に新しい職業に対する社会の正しい認識を形成するよう誘導し、労働者のアイデンティティーの向上に努めるべきだ」と指摘しました。(c)CGTN Japanese/AFPBB News