【8月10日 AFP】ギリシャのアテネ郊外でサッカークラブのサポーター1人が刺殺された事件の数日前に、ギリシャ警察がクロアチアの「フーリガン」の車列が向かっているという警告を無視したとして、非難の声が上がっている。

 事件は、8日に予定されていた欧州チャンピオンズリーグ(UEFA Champions League 2023-24)予選3回戦のAEKアテネ(AEK Athens、ギリシャ)対ディナモ・ザグレブ(Dinamo Zagreb、クロアチア)戦の第1戦の前日に発生。AEKの本拠地OPAPアリーナ(OPAP Arena)の近くで、両チームのサポーターが閃光弾や石、爆発物などを使って衝突する中、29歳のギリシャ人男性が刺殺された。これを受けて試合は延期となった。

 9日には、100人以上がギリシャ検察当局に出頭。検察によると容疑者のほとんどはクロアチア人で、過失致死や爆発物所持の容疑などで捜査されることになるという。

 この殺人事件に対する怒りは、ギリシャ警察がクロアチア側から警告を受けていた「ウルトラス(過激なサポーター集団)」を止めなかったという主張により激しくなっている。モンテネグロ当局も、事件の前日に21台の車に分乗した120人のクロアチア人サポーターが、アルバニア経由でアテネに向かっているとギリシャ警察に警告していたという。

 ギリシャのヤニス・オイコノム(Yannis Oikonomou)市民保護相は、車列が抵抗されることなく国に入ったのは「許されないことで、容認できない」と述べ、スポーツにおける暴力行為に対抗する警察の部門長を含む7人の警察官の人事異動を要求している。また、検察当局がいずれかの警官を起訴すべきかどうか決定するための内部調査を命じている。

 国内メディアは怒りの反応を示しており、日刊紙カティメリニ(Kathimerini)は、アテネを「恐怖の団体から守ることなく」放置した「ギリシャ警察の怠惰」を非難している。(c)AFP