■「過酷な仕事」

 もし温暖化対策がなされなければ、湾岸地域の気温は破壊的な水準に達すると、米ハーバード大学公衆衛生大学院(Harvard T.H. Chan School of Public Health)のバラク・アルアフマド(Barrak Alahmad)氏と、気候研究のNPO団体「Foundation for Climate Research」のドミニク・ロワイエ(Dominic Roye)氏は言う。

 湾岸地域の移民労働者の死について取り組む人権団体連合「バイタルサイン・パートナーシップ(Vital Signs Partnership)」は6月、世界気温が3度上昇すると、UAEの首都アブダビでは2100年までに、1年のうち40度に達する日が98%増えるとの予想を示した。

 また、クウェート、バーレーン、サウジアラビアでは、世界の平均気温が同じく3度上昇した場合、今世紀末までに、1年のうち40度を超える日が180日に達するだろうとしている。

「こうした状況は、人間社会に深刻な混乱を生じさせる恐れがある。われわれはそのことをようやく理解し始めた」と、アルアフマド氏はバイタルサインに説明した。

 湾岸地域では、多くの人にとって高温・高湿度が既に日常の一部となっている。都市部でオートバイに乗って食べ物や荷物を運ぶ、主に南アジア地域出身の配達員にとっては特にそうだ。

「われわれの仕事は過酷だ」と語るのは、エジプト移民のモハンマド・ラジャブさん。

 配達員くらいしか見当たらないドバイの市街地で取材に応じ、「私たちは常に、直射日光を避けるようにしている」とAFPに話した。

 映像はUAEとクウェートで7月に撮影。(c)AFP/Daria ANDRIIEVSKA