【8月4日 AFP】明らかに素人と思われる陸上選手が、国際大会にソマリア代表として出場して大差を付けられて最下位となり、物議を醸している。ソマリア・オリンピック委員会(Somalia National Olympic Committee)は、国の威信を傷つけたとして、陸上競技連盟のトップを停職処分とした。

 モハメド・バレ・モハムド(Mohamed Barre Mohamud)青年・スポーツ相は2日、中国で行われた国際大学スポーツ連盟(FISU)が主催するワールドユニバーシティゲームズ(Summer World University Games)の陸上女子100メートルに出場した女性は「スポーツ選手でもランナーでもない」と発表した。

 スポーツ省によると問題の選手は、ナスロ・アブカル・アリ(Nasro Abukar Ali)さん。1位の選手よりも10秒以上遅れてゴールしたアリさんに、ネットユーザーから嘲笑と怒りの声が集まっている。

 モハムド氏はソマリア・オリンピック委員会に宛てた書面で、「ソマリア大学スポーツ連盟」というものは存在しないと指摘。陸上競技連盟(Somali Athletics Federation)のカディジョ・アダン・ダヒル(Khadijo Aden Dahir)会長を停職処分とするよう求めた。

 スポーツ省はまた、「大学スポーツ連盟をでっちあげた」としてダヒル氏を訴える構えだという。

 モハムド氏は、ダヒル氏は「国際舞台でわが国の名を傷つけた」と非難。「わが国が恥をかかされた」ことを国民に謝罪した。なぜ、アリさんが派遣されたのか調査を進めているという。

 一方、オリンピック委員会は、アリさんの選考過程に関する証拠から、ダヒル氏が「職権を乱用し、縁故主義から、スポーツ経験がない人物を選んだ」と指摘した。こうした行為がソマリアの「スポーツ界を辱めた」として、停職処分にしたという。

 アリさんは、3日にフェイスブック(Facebook)に投稿されたインタビューで、選考会を通じて選ばれたが、レース前に負傷してしまったと説明した。「けがについて責められたくなくて出場した。最下位になったのは残念だった」と語った。

「私は大学スポーツ連盟の選考会により選ばれた。会長は何の落ち度もないのに責められている。彼女のイメージに傷を付け、やめさせようとしている」とし、今回の件にダヒル氏は一切関係がないと主張した。

「国を代表できたことに満足している。来年は他の大会にも出場したい。でも、国民が応援してくれないのなら、どうやって士気を高めれば良いというのか」と語った。(c)AFP