【7月25日 AFP】フランス中部サンテニャンシュルシェール(Saint-Aignan-sur-Cher)のボーバル動物園(Beauval Zoo)で飼育されてきた、同国で初めて誕生した雄のジャイアントパンダ「ユアンメン(円夢)」が24日、中国への返還を前に同園を後にした。集まった来園者や職員が、涙ぐみながら見送った。

 ユアンメンは、2012年以降中国からフランスに貸与されている雌のファンファンと雄のユアンザイの間に17年に生まれた。中国返還後は、成都(Chengdu)にある繁殖センターで暮らす。

 数日かけて輸送用ケージに慣れてきたというユアンメンは、出発の朝、ためらうことなくケージに入った。ユアンメンを乗せた車は警察車両に先導され、シャルル・ドゴール空港(Charles de Gaulle Airport)に向かった。

 ロドルフ・ドロール(Rodolphe Delord)園長は「全て滞りなく済んだ。両親やきょうだいには別れを告げた。飼育員の目には涙が浮かんでいた」と語った。

 24日朝は雨にもかかわらず、ファン数百人がユアンメンに別れを告げるために集まった。

 母親と見送りに来ていた少女(9)は目を真っ赤にしながら「さようならをするのが悲しくて泣いた。だけど、ユアンメンにとってはあちらの方が良いのだ、あの子のためなのだと自分に言い聞かせた」と話した。

 中国政府は長きにわたり、いわゆる「パンダ外交」を展開。しかし外国の動物園に認められているのはパンダの貸与のみで、子どもが生まれた場合は数年以内に中国へ返還するのが原則となっている。(c)AFP/Maxime MAMET