【7月19日 AFP】中国とカナダの研究チームが18日、科学誌「サイエンティフィック・リポーツ(Scientific Reports)」に掲載された論文で、約1億2500万年前の地層から見つかった、より体の大きな恐竜にかみつくアナグマのような哺乳類の化石についての研究結果を報告した。

 2匹の格闘シーンを捉えた化石は、中国北東部・遼寧(Liaoning)省で2012年、白亜紀の火山灰層から発見された。

 化石には、オウムのようなくちばしを持つ体長120センチの植物食恐竜「プシッタコサウルス・ルジアトゥネンシス(Psittacosaurus lujiatunensis)」を押さえつけ、胸部に歯を食い込ませる哺乳類「レペノマムス・ロブストゥス(Repenomamus robustus)」の姿がはっきりと残されていた。プシッタコサウルスの体は、レペノマムスの3倍ほど大きかった。

 論文の共同執筆者を務めたカナダ自然史博物館(Canadian Museum of Nature)の古生物学者ジョーダン・マロン(Jordan Mallon)氏は、これまで発見された化石の中で哺乳類と恐竜が争っているものは初めてだろうと語った。

 マロン氏は2匹の絡みつき方から、レペノマムスがプシッタコサウルスの死骸をあさっていたのではなく、攻撃していたことが分かると述べた。哺乳類が死骸をあさる場合によく見られるかみ痕が、プシッタコサウルスにはなかった。

 また哺乳類が自身よりはるかに大きな動物を捕食することは珍しいが、現代ではクズリ(クロアナグマ)が大きなカリブーを狩る様子が観察されたこともあると同氏は述べた。さらに、レペノマムスの狩りが単独によるものだったのか、群れによるものだったのかはこの化石だけでは不明だが、どちらの可能性もあると付け加えた。

 哺乳類が恐竜を捕食していたことを示唆する最初の化石は、2005年に同じく中国の同地域で発見されている。この化石はレペノマムスの胃の中にプシッタコサウルスの子どもが入った状態で見つかった。(c)AFP/Daniel Lawler