【7月16日 AFP】ベラルーシとの国境まで150メートルの地点で、カラシニコフ銃を携え警備に当たる26歳のウクライナ兵は、オレグと名乗った。ロシアの民間軍事会社ワグネル(Wagner)の戦闘員のウクライナ領内への侵入を示す兆しは見られないと話す。

 ロシア国内でのワグネルの反乱が収拾して以降、ウクライナ軍は、一部の戦闘員がベラルーシに拠点を移すとみて、国境地帯に塹壕(ざんごう)を掘ったり、地雷を敷設したりして防御を固めてきた。

 オレグは、昨年2月24日のロシアによる侵攻開始以来、閉鎖されているチェルニヒウ(Chernigiv)州スラブチッチ(Slavutych)の検問所付近をパトロールしながら、ワグネルやロシア軍が攻めてきても撃退する用意はできていると語った。

 ベラルーシ国防省は14日、一部のワグネル戦闘員が入国し、自国兵に訓練を施していると認めた。

 一方、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領は、「安全保障の観点からベラルーシにおける(ワグネルの)動向は注視しているが、現時点では大きな脅威ではない」と語っている。

■挑発行動見られず

 ベラルーシにつながる道路には雑草が生え、税関関係の標識にはさびが浮かんでいる。

 侵攻開始前には、1日に500台程度の車両が検問所を通過していた。

 昨年2月24日の朝、ウクライナ軍の国境警備隊はドニエプルDnipro)川に架かる橋を爆破。ロシア軍はそれでも何とかチェルニヒウ州に侵入し、昨年4月に撤退するまで激しい戦闘が繰り広げられた。同州は今もなお砲撃にさらされている。

 オレグは、ベラルーシ領内にロシアの正規兵約2000人が駐留しているほか、ロシア航空宇宙軍の軍用機やヘリコプターも配備されていると、ウクライナ軍では推定していると語った。

 オレグは国境の状況について「管理されており、平穏だ。ベラルーシ側からの挑発行動は確認されていない」と話した。(c)AFP