【7月13日 AFP】世界の海の色が過去20年間で大きく変化したとする研究結果が12日、英科学誌ネイチャー(Nature)に発表された。

 論文によると世界の海洋面積の半分以上、すなわち地球の陸地面積よりも広い範囲で色の変化が確認された。熱帯に近づくほど緑がかっているという。

 研究チームは原因の解明にはさらなる研究が必要だとしながらも、生態系の変化、特に海洋食物網の中心であり、光合成によって大気の安定に重要な役割を果たしている植物プランクトンの変化によるものだと予想している。

 論文の主著者を務めた英国立海洋学センター(National Oceanography Centre)のB・B・カエル(B.B. Cael)氏はAFPに「われわれが色の変化を気にするのは、色に生態系の状態が反映されるからだ。色の変化は生態系の変化を意味する」と語った。

 チームは2002~22年、地球観測衛星「アクア(Aqua)」に搭載されている「MODIS(中分解能撮像分光放射計)」が観測した、肉眼では判別しがたい海面の七つの色相についてデータを分析。通常の年ごとのばらつきを上回る変化を検出し、これをコンピューターによる気候変動予測モデルと比較したところ、実際の観測結果とほぼ一致した。

 米マサチューセッツ工科大学(MIT)地球変動科学センター(Center for Global Change Science)地球大気惑星科学部のステファニー・ドゥトゥキェビッチ(Stephanie Dutkiewicz)氏は「海洋の変色のシミュレーションを何年も行ってきたが、実際の現象を目にするのは驚きというよりも恐ろしい。これらの変化は、人為的に引き起こされた気候変動と一致している」と述べた。(c)AFP