【7月13日 AFP】英国のベン・ウォレス(Ben Wallace)国防相は12日、ウクライナへの武器供与をめぐる発言で米小売り・IT大手アマゾン・ドットコム(Amazon.com)を引き合いに出し、「英国はアマゾンではない」と苦言を呈したことを明らかに出した。また、ウクライナはもっと謝意を示すべきだとの考えを示し、通常は穏和な両国の関係に一石を投じた。

 ウォレス氏は北大西洋条約機構(NATO)首脳会議が開催されたリトアニアの首都ビリニュスで英メディアに対し「少々苦言を呈するが、われわれが好むと好まざるとにかかわらず、人というのは感謝の念を求めるものだ」と発言。

 ウォレス氏は「確かにこの戦争は崇高なもので、確かにウクライナが戦っているのは、われわれの自由のためでもある」と前置きした上で、「しかし、時には米議会で議員たちを納得させる必要もある。疑念を抱いている他国の政治家を納得させてこそ、それに見合うものが手に入る」と述べた。

 さらにウォレス氏は、昨年ウクライナ側から要望する武器のリストを受け取った際、「私はアマゾンではない」と述べたことを明かした。

 一方、ウォレス氏の発言について質問されたリシ・スナク(Rishi Sunak)英首相は、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領からは「何度も感謝の念を伝えられている」と述べた。

 ゼレンスキー氏もNATO首脳会談の記者会見でウォレスの発言について聞かれると、やや憤慨した口調で返答。「われわれは常に英国に感謝してきたと思う。英国の歴代首相、そして国防相にも感謝している」と答え、英国民の支援と英政府の緊密な協力に謝意を示した。

 さらに、ゼレンスキー氏は自国のオレクシー・レズニコフ(Oleksiy Reznikov)国防相の方を向き、ウォレス氏との間で何か問題があったのかと尋ねた。レズニコフ氏が問題はないと答えると、「ならば彼に感謝の言葉を伝えてはどうか? そうだ、それではきょう彼に電話するように」と笑いながら命じた。(c)AFP