【7月12日 AFP】フィリピンの検閲当局は12日、近日公開予定の米映画『バービー(Barbie)』について、上映の際には南シナ海(South China Sea)における中国独自の境界線「九段線」が描かれているとして物議を醸している地図をぼかすよう、配給元に要請した。

 米ワーナー・ブラザース(Warner Bros)が配給する同作は、バービー人形をテーマに、グレタ・ガーウィグ(Greta Gerwig)氏が監督し、マーゴット・ロビー(Margot Robbie)とライアン・ゴズリング(Ryan Gosling)が出演するファンタジー・コメディー。フィリピンでは今月19日から全国公開が予定されている。

『バービー』をめぐっては、ベトナムが先週、九段線を示した地図が登場するとして同作の上映を禁止したと報じられた。これを受け、フィリピンの検閲当局も精査を行った。

 検閲当局は、「漫画的な地図」に九段線は描かれていないが、「アジア」と書かれた大陸の周りに破線の点が8個書き込まれ、フィリピン、マレーシア、インドネシアは地図上で明示されていないと指摘。さらに、バービーが「バービーランド」から「現実世界」に空想の旅をするルートが描かれているが、これはストーリー上欠かせないものだとした上で、物議を醸している波線をぼかすようワーナーに要請したとしている。

 AFPはワーナーにコメントを求めたが、回答は得られなかった。

 しかし、同社の広報は米娯楽誌バラエティ(Variety)に対し、この地図は「子どもがクレヨンで描いたような絵」で、「何らかの主張を意図したわけではない」とコメントしている。(c)AFP