【7月11日 AFP】ふわふわした毛で覆われた北米原産の毛虫に刺されると、猛毒のため焼けるような痛みを感じる。11日に公表されたオーストラリアの分子生物学者チームの研究結果によると、その毒は4億年以上前に細菌から獲得したメカニズムによって生成されており、人間の細胞に穴を開けていることが分かった。

 この毛虫は、北米に生息し、カシやニレの葉を食べるガの一種「サザン・フランネル・モス(別名アスプ)」の幼虫。密生した毛で覆われており、害があるようには見えないが、とげが隠れている。

 豪クイーンズランド大学(University of Queensland)の研究チームによると、とげには毒があり、刺されて病院に搬送される事例も多い。「焼けた石炭を触ったような」あるいは「鈍器で殴られたような」痛みが走るとされる。

 研究チームを率いたアンドリュー・ウォーカー(Andrew Walker)氏は、サザン・フランネル・モスの毒は他の虫が持つ毒とは全く異なるものだと指摘。毒の成分であるたんぱく質は大腸菌やサルモネラ菌が生成する毒素に類似していると説明した。

 同氏によれば、毒が細胞の表面に付着すると、ドーナツ型の構造を作り、細胞に穴を開ける。

 ウォーカー氏は「毒は4億年以上前に細菌から獲得した遺伝子が関わることによって生成されている」と指摘。細胞に侵入する働きについては、将来、医薬品開発に役立つ可能性があるとしている。(c)AFP