【7月4日 AFP】フランスで先週、交通違反の取り締まり中にアルジェリア系フランス人のナエル・Mさん(17)が警官に射殺された事件をきっかけに、若者の怒りが再燃し、根深い問題が改めて表面化している。

 パリ郊外ナンテール(Nanterre)。ナエルさんが住んでいたパブロ・ピカソ(Pablo Picasso)団地の路上では事件以降、毎晩暴動が続いた。放火された車の残骸や、「ナエルに正義を」と訴える落書きがあちこちに残されている。

 公園のベンチに座っていたモアメドさん(39)は、「みんなうんざりしている。またかという気持ちだ。もちろん、私もここで育ったから理解はできる。そうは言っても、学校や店に火を付けるなんて、どうかしている。私たちみんなが困るのだから」と話した。

 連日、夜になると自宅から足を運んで「子どもたちを説得」したという。

 隣にいた友人のソフィアーヌさん(38)は、ため息をつきながら、「(警察から)抜き打ちで職務質問されることは本当に勘弁してほしいとみんな思っている。(移民のルーツを持つ名前ではなく)ミシェルの名前を持つ市民に接するのと同じように扱ってほしい」と話した。

 公園の裏手の高層団地に住むファティーハ・アブドゥニさん(52)は、「物を壊したり燃やしたりするやからの肩を持つことはできない」としながら、「私たちは今、若者たちの不満や怒りに耳を傾けなければならない」と語った。

 パリ郊外の貧困地区に住む若者は「日々、さまざまな困難に直面し、教育、仕事、住居に関し不平等な格差を味わっている」と指摘。ナエルさんの死が「引き金」となり、「根深い問題」が再燃したのは明らかだと続けた。