【6月28日 CNS】四つの皿と八つの碗を備え、一席あたり8人限定とし、食器は32点使用されることから名付けられた山東省(Shandong)泰安市(Tai'an)寧陽県(Ningyang)の「四八席」は、席面が豊かで料理の提供は整然とし、儒教の風情を感じることができる。食客は八仙卓(八人が座ることのできる大きな正方形のテーブル)に座り、濃厚な郷飲酒礼を体験しながら、団欒の喜びを味わい、おもてなしを楽しむ。

 寧陽県の「四八席」は、2000年以上の歴史を持つ。その宴席での「糖醋鯉魚(鯉の甘酢煮込み)」は有名な山東料理だ。2021年、「寧陽四八席と酒礼」は山東省級無形文化遺産の第5弾に指定された。

 唐代以降、「四八席」は寧陽の人びとが師匠に拝師したり、恩師に感謝したりするための特別な宴席となっており、後には貴賓をもてなす最高級の宴席として広まっていったと言われている。

「『四八席』は、細部に至るこだわりがある」と、寧陽県郷飲郷柳雲村の郷土料理人、于朝民(Yu Chaomin)さんは語った。于さんによれば、「四八」とは「四平八穏」という意味を含むのだという。四鋪卓(4品のフルーツまたはドライフルーツの盛り合わせ)、四圧卓(4品の冷たい料理)、二大件(丸ごと蒸し鶏、丸ごと魚の甘酢煮込み)、八大碗(8品の大きい碗で詰める料理)、四小碗(4品の小さい碗で詰める料理)、二糕点(2品の菓子)で、合計24品の料理が提供される。

 24品の料理がすべて出された後、各客には一杯の「うがい用の水」(「清口湯<口をさわやかにするスープ>」とも呼ぶ)が提供される。口をすすいだ後、一度席を離れ(「閃席」とも呼ぶ)、再び席に戻った後、乾杯の儀式に移る。

 最後に、麺類とスープが出される。

 地元の民俗学者の王汝成(Wang Rucheng)さんによると、「四八席」の座り方にはこだわりがある。八仙卓には8人が座り、最も尊敬される賓客が上座に座り、主要な付き添い客が下座に座る。その他の客は、世代や年齢に応じて順番に座る。

 王さんによれば、「四八席」を堪能することは料理だけでなく、中華民族の古来から続く食文化や尊老敬徳、長幼の秩序がある、情熱的なおもてなしの伝統的な美徳を体験することだという。

 寧陽の「四八席」における杯酒の交わしには、料理の受け取り、乾杯のたびに、習慣的な礼儀の実践が求められる。高齢者を尊び、年長者を敬い、互いに謙虚で思いやりのある態度を持ち、楽しく和やかな雰囲気を作り出す。済寧職業技術学院(Jining Polytechnic)の賈慶超(Jia Qingchao)教授は、「四八席」は人びとの距離を縮めるだけでなく、舌の上での楽しみの享受であり、伝統的な文化精神の養成と進化でもあると述べた。(c)CNS/JCM/AFPBB News