【6月27日 AFP】インド国家人権委員会(NHRC)は26日、鎖でつながれて1日12時間無給で井戸掘りに従事させられていた債務労働者11人が救出されたと発表した。

 債務労働は「債務奴隷労働」とも呼ばれ、債務者は借金を返すために強制労働に従事しても、その間に利息が膨れ上がっていく。

 NHRCによると、西部マハラシュトラ(Maharashtra)州で強制労働に就かされていた11人のうち、1人が鎖を外して逃げ出し、「虐待」が行われていると警察に通報。17日に残り10人も解放された。

 NHRCは、11人は逃げられないように鎖でつながれ、12時間無給で井戸掘りをさせられていたと説明。食事は1日1回しか与えられず、排せつも作業現場でさせられていた。

 警察は4人を逮捕したが、NHRCは救出と加害者の逮捕だけでは済まず、1976年の債務労働制廃止法に「甚だしく違反している」と指摘している。

 債務労働に関する一連の規制は、起訴されるケースがほとんどなく、債務者は利益の最大化を図るため有名無実化している。活動家によれば、インドの債務労働者は約1000万人に上っている。

 NHRCは、今回の雇用主は債務者に対し、3、4か月後に解放される際に「さらなる虐待を受けるよりは、賃金を要求せずに逃げ出した方がまし」と思わせるような過酷な条件での債務労働を「常習的に」行っていたと指摘している。(c)AFP